日本を代表する鉄道ターミナル、JR新宿駅の南口改札から続く広大なペデストリアンデッキ。そこから直接アクセスできる高層ビルの2階部分にこの保育所は位置する。

フィックスガラスのカーテンウォール、機械換気と機械空調による室内環境。

およそ子供の空間として相応しいとは言い難い前提条件に対し私達が提案したのは、「インダストリアル・ガーデン」というコンセプトである。

エントランスのインナーガーデンと称する空間に設けられた水遊びの為のミニマムな水盤、ブラックアウトした空間に浮かび上がる即物的なシルバーの配管と有機的な植物。

都心の高層ビルのワンフロアという環境をポジティブに受け入れ、抽象化された自然によってつくられた保育環境もまた、その土地固有の心象風景と言えるのではないかと考えた。